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座っている時間が長いと、死亡リスクが高い ! !

横浜市立みなと赤十字病院
健診センター長 伊藤美奈子
 シドニー大学の研究によって、平日の座位時間(座ったままの時間)は世界平均が1日5時間であるのに対し、日本人では7時間と世界で一番長いことが判明しました(図1)。
 加えて、6万人以上の日本人を8年近くにわたり追跡して調査した「日本多施設共同コーホート研究(J-MICC STUDY)」において、座位時間が長いほど死亡リスクが増加することが明らかになりました。図2が示すように、日中の座位時間が2時間増えるごとに死亡リスクは15%増加しました。脂質異常症がある人は18%、高血圧は20%、糖尿病は27%、それぞれ死亡リスクが増加しました。図3のように生活習慣病の保有数が多いほど死亡リスクも大きくなり、脂質異常症・高血圧・糖尿病の3つすべてをもつ人では42%という驚異的な数字を示しました。
 また、2021年9月の日本人間ドック学会において、当センターの受診者1,953例を対象とした研究成果を報告しました。コロナ禍によって外出の自粛要請やテレワークの普及、運動施設の閉鎖により人々の活動量が減少し、動脈硬化性疾患関連因子が悪化したという結果となりました。
 座位時間が長いと、大きな筋肉である太ももやお尻、血液を心臓に戻す重要な役割を担うふくらはぎを動かすことがほとんどありません。その結果、全身の血行不良と代謝の低下などが引き起こされ、さまざまな生活習慣病、例えば、心筋梗塞や脳卒中、大腸がん、乳がんなどの発症リスクと死亡リスクが高くなります。その他、メンタル不調や認知機能の低下につながります。また、休日や余暇の時間に運動や身体活動の量を増やしても、ふだんの生活で座位時間が長いと死亡リスクを完全に下げるのは難しいという報告もあります。
 30分ごとに5分間、座位の中断をすることで、血糖値や血圧が低下することがわかっています。さらに、運動習慣によりがん、肺炎、不安症などのリスク低下が確かめられています。座り続けないことが長生きの秘訣です。座りすぎのリスクを予防するために、例えば、30分に1回立ち上がる、座位で行える体操をする、立位で作業する、などを生活に取り入れましょう。
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