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知っておきたいがん予防の話 ~その2~

横浜市立みなと赤十字病院
健診センター長 伊藤美奈子
 がんを怖い病気にしないためにご自分でできることについて、前回はがん検診を中心にお話ししました。今回はがん発症を未然に防ぐ生活習慣について情報提供させていただきます。
 国立がん研究センターがん予防・検診研究センターがまとめた「がんを防ぐための新12か条」を紹介します。この新12か条は日本人を対象とした疫学調査や、現時点で妥当な研究方法で明らかとされている証拠を元にまとめられたものです。
<1条> たばこを吸わない
<2条> 他人のたばこの煙をできるだけ避ける
男性で34%、女性で6%はたばこが、がん死亡の原因と考えられています。がん予防のために禁煙は最も重要です。受動喫煙(他人のたばこの煙を吸うこと)もがんをはじめとする健康被害を引き起こします。たばこの煙には約70種類の発がん物質が含まれ、血流に乗って全身に運ばれて、あらゆる臓器に悪影響を及ぼします。
<3条> お酒はほどほどに
厚生労働省は1日あたりのアルコール摂取量を、男性は20g、女性は10g以下を勧めています。アルコール20gとは、日本酒なら1合、ビールなら500ml、焼酎や泡盛なら2/3合、ウイスキーやブランデーならダブル1杯、ワインならボトル1/4程度です。
<4条> バランスのとれた食生活を
<5条> 塩辛い食品は控えめに
<6条> 野菜や果物は豊富に
摂りすぎるとがんのリスクを上げる食品成分や調理・保存の過程で生成される有害物質もあります。これらのリスクを分散させるためにも、偏らずバランスの良い食事を心がけましょう。厚生労働省が推奨する食塩摂取量は1日あたり男性9g、女性7.5gです。高塩分食品は控えましょう。野菜・果物は体内で発がん物質を解毒する作用があるとされています。1日 400g(たとえば野菜を小鉢で5 皿、果物 1皿)以上の摂取をめざしましょう。
<7条> 適度に運動
<8条> 適切な体重維持
運動は、肥満の解消、インスリン抵抗性の改善、免疫機能の増強など、がんだけでなく心血管疾患や糖尿病のリスク軽減につながることから、死亡全体のリスクを下げることができます。太りすぎでもやせすぎでもがんのリスクは上がります。やせによる栄養不足は免疫力の低下や抗酸化物質の不足などを引き起こすため、やせすぎにも注意が必要です。
<9条> ウイルスや細菌の感染予防と治療
B型・C型肝炎ウイルスは肝がん、ヘリコバクター・ピロリ菌は胃がん、ヒトパピローマウイルスは子宮頸がんの発症に関連しています。それらを排除することはがん予防につながります。
<10条> 定期的ながん検診を
<11条> 身体の異常に気がついたら、すぐ受診を
発見が早いほど治癒率は高くなります。早期のがんは症状が出ることはほとんどありません。症状が出る前に定期的ながん検診を受けることをおすすめします。しかし、がん検診ですべてのがんを見つけられるわけではありません。身体の異常を感じたら、すぐに医療機関を受診しましょう。
<12条> 正しいがん情報でがんを知ることから
信頼できるがん情報をもとに、ご自身に合った予防法を身につけましょう。
 この新12か条はがん予防のみでなく、他の生活習慣病の予防にも効果があります。まず、できることから始めてみてはいかがでしょう。
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