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健康メモ
入院中、薬による副作用に注意を
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入院中、薬による副作用に注意を

福岡大学病院 薬剤部 部長 二神 幸次郎

2010年の日本人の平均寿命は女性が86.4歳、男性が79.6歳で、病気の診断や治療、予防に使う薬は寿命を延ばすのに大きく貢献しています。しかしながら、薬はときに副作用を起こし患者さんに害を与えることがあります。

その副作用の発現を正確に把握できているでしょうか? 今度、日本でのデータが2010年に初めて論文化され公表されました。薬による副作用は、入院患者3,459人のうち726人(21%)に1,010件発現していました(図1)。実に入院患者5人に1人が副作用を経験することになります。1,010件の副作用のうち1.6%は死亡(14人が死亡)、4.9%はアナフィラキシーショックなどの命に関わる健康被害が起こっていました。さらに33%は消化管出血、意識障害などの重篤な症状でした(図2)。入院患者100人あたりにすると29件であり、もし副作用が発現すると平均して入院期間が7日間延びています。



副作用は防ぐことができるでしょうか? 副作用は大きく2つにわけることができます。1つはアレルギーや特異体質からの過敏症です。通常、薬の量とは関係がなく頻度も多くはありません。発現すると命に関わり、同じ薬や同じような薬を飲むとまた発現するので、先生にアレルギーを起こしたく薬をよく伝えておくこと、そのためにはアレルギー手帳を持っておくと大変役に立ちます。もう1つはその薬のもっている作用が強く出たり、目的とした本来の作用とは別の作用が出たりする薬理作用によって起こるものです。また、薬を急に止めると副作用が起こる薬も稀にあります。薬理作用が原因の副作用は薬の量と関係しています。原因として、人は薬を体外に排泄することができにくい場合や薬が働くところが薬に対して敏感になりすぎていることが考えられます。薬の特性によっても副作用が異なりますが、患者さんの状態によっても違ってきます。高齢の方や腎臓や肝臓の機能が悪い人、女性では男性より副作用が起こりやすいといわれています。薬を正しく飲んでいて、食べ物の味が変わった、皮膚に発疹が出来てきた、尿の量が少なくなったとか、薬を飲んでいて何かいつもと違っておかしいことがあったら医師や薬剤師に言ってもらうと副作用かどうか調べてくれます。自分が飲んでいる薬を知ると共におかしいことがあればすぐに相談することが大切です。論文には、副作用のうちの14%が未然に防ぐことができたと報告されています。

あなたを薬による危険から守るのは誰でしょうか? 病院における重大な副作用は医師が薬を処方するときが最も多く、次に薬の投与中、また薬を飲んで効果を見ているときになります。薬による危険から守るための職種は医師はもちろんですが、薬剤師が薬の専門家として積極的に取り組んでいます。薬剤師は薬を調剤するときや患者さんとお話ししておかしいと感じたときは直ぐに医師に確認しており、また薬による副作用がでた際、症状や検査値で早い段階に気がつけば医師に連絡しています。より多くの副作用を防ぎ、早い段階で副作用に気がつけば重篤になるのを防ぐこともできます。入院したら薬剤師に気軽に相談してください。

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