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健康メモ
飲みすぎに注意!
健康メモ

飲みすぎに注意!

産業医科大学第一内科 山岡 邦宏

本稿をお読みになる皆様は、健康維持・増進に興味を持たれていると伺いましたので、お元気に過ごされている方々が多いかと思います。しかし、関節痛・手足のしびれ等々があり、症状は軽くはっきりとした診断がついていないけれども、何か薬は飲んでいるという方は少なくないと思います。また、特に症状はないけれども「健康のため」、「調子が良くなる気がする」ということでサプリメントを飲まれている方もおられるのではないでしょうか。

私は膠原病・リウマチ(難病)を専門とする医師で大学病院に勤めていることもあり、原因不明の熱(不明熱)を診る事が少なくありません。不明熱をきっかけに本物の病気が見つかる方こともありますが、最も多いのは薬剤熱です。つまり、薬の飲みすぎです。典型的な例としては、風邪をきっかけに薬を飲み始める→いったん良くなったものの完全に良くなるまでと飲み続けた→熱が再度出始めた→解熱剤、抗生剤変更と薬は更に増える→熱が続く→大学病院受診といった流れです。他にも、難病に対して効果があると聞いたからサプリメントを飲み始めた→熱が出る→風邪薬追加→熱が続く→受診、等々です。当然、すべての投薬を中止することで解熱します。これは処方する医師や誇大広告に大きな問題があることは言うまでもありません。しかし、クスリ大国日本においては何らかの症状があれば薬をもらう、または飲むのが当然だという風潮があることも事実です。薬は処方箋が必要な劇薬から薬局で手軽に購入出来るものまでありますが、何れも薬であることには違いありません。例えビタミン剤やサプリメントであっても、粉末や錠剤にするには薬剤が使われます。しかし、患者さん曰く「テレビで良いと言っているのに……」。では、本当にサプリメントだけで良くなっているのでしょうか?100人いや1000人が使って何人がよくなったのでしょうか?宣伝に出ている人は何を基準に良くなっていると言っているのでしょうか?皆様を信用させるだけの科学的根拠がメディアで流れている所を私は見た覚えがありません。他には、レモン100個分、緑豆1000個分の……等々の宣伝を目にしますが、本当にそんなに必要なのでしょうか?人間の体は欲すれば必然的に必要な量を口にして吸収する様に出来ています。飽食の時代ですから逆に取りすぎる傾向にあるくらいです。いまや「飽食」に飽き足らず「飽薬」の時代となっている感が否めません。

今回、皆様の健康増進に私の立場から申し上げさせて頂きたいのは、無駄な薬は使わないことです。「それは先生が出すから」とおっしゃられる方もおられるでしょうが、医者が処方する薬は、症状を抑えることを目的としたものがかなりの部分を占めます。例えば、膝が痛いから痛み止め、手先がしびれるからしびれ止め、便秘だから下剤、かゆみがあるからかゆみ止め等々。つまり、効果が無ければ「無い」と明言されることで減らすことが可能な薬はかなりあると言えます。その意味で、サプリメントは開始・中止・継続・再開の判断はすべて皆様自身がされることですので難しいかと思います。まず、開始するには本当に信用に値するものなのか否か、開始後良くなったのか、一旦やめてみた(飲み忘れた)際に特にかわらない等々、判断材料は色々とありますので、その時々で振り返ってみることが重要です。その点では、病院での処方薬も主治医の診察や検査所見では判断できないことが多く、判断材料の多くを皆さんがお持ちです。医者ー患者関係を潤滑にし、かつ体に「苦い」思いをさせないためには医者の言いなりにならずに効果が無いものは「効かない」と明言しましょう。また、明らかな効果がないサプリメントは飲まないこと、原因が分からず調子が悪いときには、まず飲まれている薬を疑うことも大切です。飽食と飽薬の時代における健康の秘訣は、食べすぎと(薬を)飲みすぎないようにすることが肝要かと思います。

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