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健康メモ
高齢者の膝の病気(変形性膝関節症)と治療について
健康メモ

高齢者の膝の病気(変形性膝関節症)と治療について

NTT札幌病院 整形外科部長 井上 雅之

変形性膝関節症について

膝は図1のように、大まかには太もも(大腿骨)とすねの骨(脛骨)とお皿(膝蓋骨)からできていて、その骨の表面は軟骨にて覆われています。また骨の間にはクッッションの働きをする半月があります。軟骨、半月板の成分の多くは水分であり、加齢とともにそのみずみずしさは減っていきます。さらに、長い年月による物理的な刺激やその他の要因(体重、過度な負荷、過去の膝の怪我、遺伝的要素、特に女性)が加わる事により、膝の特に内側の軟骨や半月板が磨り減ってきます(図2)。これらの磨り減りによって、膝の痛みが誘発されます。次第にその磨り減りは、さらに膝の内側へのアンバランスを招き内側に過度な荷重がかかり、内側の骨の磨り減りを起こし、内側痛はさらに悪化するという悪循環を招きます。この膝の軟骨や骨が傷む病気が変形性膝関節症です。

症状

歩き始めの膝の痛みを初期の症状として、その後、膝の内側痛、引っかかり感、安静時痛、夜間痛と悪していき、膝が伸びない、O脚変形など膝の変形を呈していきます(図2)。

画像診断

レントゲンが一般的で、正常では内側の十分な隙間がありますが、膝の悪化ととも軟骨、半月板が磨り減り内側の隙間は減少し、次第にO脚も進んで生きます。MRIでは、レントゲンには写らない半月板、軟膏の状態がわかり、軽症には有用です。

予防

第一に膝の負担がかからない状態にする(ダイエット)や、膝の曲げ伸ばす筋力を鍛える事です。運動としては、膝が痛い方は、膝への荷重負担が軽減するプールでの水中歩行や、エアロバイクなどが良いでしょう。仰向けに寝て膝を伸ばしたまま、脚を上げ下げする訓練が一般的です。

治療

病状により異なります。

  • I)内側の関節の隙間が保たれている初期では、(1)ダイエット、(2)筋力訓練は勿論の事、(3)膝の内側への荷重負担を減らすように、靴の中に外側が高くなっている下敷(足底板)を入れたり、(4)痛み止めの薬や、シップなどを行いますが、それでも痛みが続く場合は(5)軟骨の成分(ヒアルロン酸)などの関節内注射を行います。
  • II)内側の隙間が減ってきている中程度の悪化の場合は、その主たる原因が半月板の傷みや、軟骨の傷みが軽度であれば、内視鏡(膝関節鏡)にて、約5mmほどの傷2箇所から、傷んだ半月板や、軟骨を処置します。入院も4-10日間ほどです。
  • III)同じ中期でもO脚を呈している場合は、内側への体重のバランスを外側にずらすため、膝下で脛骨の骨きり(高位脛骨骨きり術)を行います、この手術にはさまざまな方法がありますが、概念はほぼ同じです。入院は1-2ヶ月間です。

内側の隙間が無い末期の場合は、軟骨、半月板はもとより、骨の変形や、靭帯などの拘縮が激しく、人工関節手術を行います。虫歯で言えば悪い歯の部分を取り除き、金属や入れ歯を入れる感じです。しかしこれは大きな手術になるため、手術の適応は慎重に判断する必要があります。内側だけ悪い場合は、内側のみの人工関節(UKA)という方法もあります。一般的な全人工関節(TKA)に比べ手術の傷などの侵襲は少なく、入院期間も2-3週です。一方TKAは内側のみならず、膝のほぼ全部を取り替えるためやや大きな手術になり入院も3-4週間です。適応としては、60歳以上、痛みを伴う変形性膝関節症の末期、膝が化膿していない、手術やリハビリテーションが可能な全身状態の方になります。

http://www.inoue.ecweb.jp/ 参照してください。

このように病気の状態に応じた治療法があります。早めに対処した方が、程度の軽い治療ですみます。膝の痛みを感じましたら、膝を専門とする医師に相談される事をお勧めします。

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