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健康メモ
家庭血圧はなぜ大切なのでしょうか?
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家庭血圧はなぜ大切なのでしょうか?

NTT関東病院 高血圧・腎臓内科 五味 朋子

日本ではどこの家にも一台ぐらい家庭血圧計があるのではないでしょうか?日本は世界でも最も家庭血圧の保有台数の多い国のひとつです。家庭血圧計は測定する部位によりいくつかの種類があるのもご存知だと思います。病院で計測するのと同じ部位で測定する上腕型、手首で測定する手首型、もっとも楽そうな指での血圧計の3種類です。寒い日の朝腕まくりして上腕型で血圧をはかるのは大変です。持ち歩きを考えれば、手首型は小さくて便利そうです。どの形でも測定された血圧値は同じように評価できるのでしょうか?

血圧の測定の原則は加圧により血流を遮断し、その圧をゆっくりと解除していく途中で聞こえる音で収縮期血圧を測定します。上腕には骨が一本と動脈が一本です。手首は骨が2本と動脈が2本で、手首型はそのため加圧により十分に血流を遮断することができません。指でも同様なことがいえます。血圧の変動を観察するのにはどの方法でも統一して行えば良いのですが、血圧として評価するのに適切なのは上腕型で、私たちは上腕型での測定を勧めています。

家庭血圧を測定している方から寄せされる質問の多くは「血圧は何回測定したら良いでしょうか?」です。「血圧を測るたびに値がどんどん下がるんです。」「上がったり下がったりいろいろです。」とお話されます。そこでいったい何回が適切であるのかを検討してみることにしました。私たちが出来るのは外来で血圧を測定することですので、外来で複数回血圧を測定してみました。2度測定してもほぼ同じ人(2度の収縮期血圧差が5mmHg以内)、収縮期血圧が10mmHg以上低下する人、逆に上昇する人(収縮期血圧差が5mmHgから10mmHgぐらい))の3タイプあることにきずきました。1回目と2回目の測定で、収縮期血圧が10mmHg以上低下する人も2回目と3回目の血圧差はよりすくなく、よく一致することがわかりました。「血圧を測るたびに値がどんどん下がる」タイプの方には複数回家庭を測定していただき、差の少ない値を安定した血圧値と考えていただいています。「上がったり下がったりする」方に対しては、前日の飲酒量、寝不足していないか?などを記録していただくことで、原因が理解され、安心していただけるようです。

血圧には季節的変動を認めます。すでにご存知のように、暑い季節では血圧は低く、寒い季節は高くなります。冬、朝起きて寒い部屋で腕まくりして冷たい腕帯を巻くだけで、血圧は上がってしまいますので、室温も大切です。またテレビを見たり、会話をしたり、いろいろ考えたりすると交感神経が興奮しますので、血圧は上がります。なるべく静かな状況で計測していただくことが望まれます。

なぜ家庭血圧の測定が必要なのでしょうか?白衣高血圧という言葉はご存知でしょう。家での血圧は正常範囲であっても病院で測ると高いというもので、白衣高血圧の方々は心臓を含め、高血圧による臓器合併症は認めず、治療の必要はないと現在は考えられています。当科で行った高血圧で治療されている方の心肥大と血圧との関連の検討では、外来での血圧より、家庭での朝と夕の血圧の差が10mmHg以上ある人でより心肥大が強いことが分かりました。高血圧の治療の目的である、臓器障害予防の点からも家庭血圧測定の重要性がお分かりいただけると思います。しかしそれ以上に自己管理の観点から重要です。外来受診で血圧を測れる回数は一般の診療所で2週間から4週間に1回です。当院では高血圧患者で現職の方が多いなどの特徴があり、なるべく仕事に支障をきたさないことも考え、3ヶ月に1回の受診の方が一般です。外来での血圧のみならず、非受診日の血圧の状況が重要であることはいうまでもありません。

高血圧、メタボリック症候群など自己管理が重要な病態が強調されています。自己管理を行うことで、血圧を常にコントロールできているかどうか確認し、より重症な心臓・脳の血管病変を防ぐよう、皆様のご協力を期待しています。

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