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健康メモ
COPDという21世紀の生活習慣病
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COPDという21世紀の生活習慣病

NTT東日本東北病院 内科 医長 高橋 識至

皆さんはCOPDという病気をご存知でしょうか。慢性閉塞性肺疾患chronic obstructive pulmonary disease の頭文字をとった略語ですが、AIDS(後天性免疫不全症候群)やSARS(重症急性呼吸器症候群)などと同様に、一般名称としてCOPDと覚えていただきたいと思います。COPDとは主として喫煙によって生じた肺の慢性炎症のために気道内の空気が通りにくくなる病気で、患者さんのほとんどが喫煙者である事から「タバコ病」ともよばれております。従来は、慢性気管支炎あるいは肺気腫と呼ばれていたものですが、原因(ほとんどがタバコ)、診断(肺機能検査)、治療法の共通性から、COPDと統一して管理されるようになりました。世界の死亡原因ランキングにてCOPDは約15年後の2020年には虚血性疾患、脳血管障害につぐ第三位になると予測されています。日本の禁煙対策の遅れからCOPDの罹患率、死亡率の増大は必至で、間違いなく21世紀における最も脅威となる疾患の一つであると予測されているのです。

日本では2000年にCOPD疫学調査が実施され、40歳以上の約8%、喫煙歴を有する者に限ると約15%、絶対数にすると日本で500万〜700万人がCOPDに罹患していると推定されました。しかし病院を受診したCOPD患者はたったの34万人で、大半のCOPD患者は見過ごされているのです。その理由は、この疾患の初期は無症状であることが多く、発症しても経過が極めて緩徐なので、自ら医療機関を受診しないことにあります。さらに、この疾患に特徴的な慢性の咳、痰、労作時息切れという症状が出現するに至っても、「年のせい」「タバコを吸っているからあたりまえ」「別の病気(風邪、喘息など)だからそのうち治るだろう」などと認識してしまうことも多いようです。

自分でCOPDを疑うには、以下のことに留意してください。COPDの比較的早期の段階から、(1)慢性の咳、(2)慢性の痰がみられ、さらに進行すると、(3)労作時の呼吸困難を感じるようになります。上記(1)(2)(3)のいずれかがあればできるだけ早く受診して肺機能検査を受けましょう。症状がなくても中高年で喫煙歴のある方はCOPDを疑って、検診などで肺機能検査を受けましょう。

禁煙はCOPDの発症リスクを減らし、進行を止める唯一の方法です。COPDの肺機能の年間低下量は非喫煙者の3〜5倍にもなるのですが、禁煙二年で減少率は非喫煙者と同等となります。ただし、一度憎悪した肺機能は元に戻らないため、できるだけ早期の禁煙が必要なのです。たとえ病状の進んだCOPDであってもけっしてあきらめる必要はありません。現在では薬剤(特に長時間作動型気管支拡張薬)と呼吸リハビリテーションの進歩によって、あらゆる病期においても適切に管理を受ければ、症状やQOLの改善が期待できます。とにかくできるだけ早期に診断を受けて禁煙をはじめとする適切な管理を受けることが重要なのです。

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