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健康メモ
成人病から生活習慣病、そしてメタボリック症候群へ(キーワードは生活習慣の修正)
健康メモ

成人病から生活習慣病、そしてメタボリック症候群へ(キーワードは生活習慣の修正)

NTT関東病院 高血圧・腎臓内科 五味 朋子

成人病と呼ばれていた癌、糖尿病、高血圧、高脂血症、慢性肺気腫などの疾患群を生活習慣病と名称を変更し、生活習慣の修正によるこれらの疾患予防が呼びかけられています。これら疾患は成人になってから発病しますが、子供のときからの環境や生活習慣の因子と両親から受け継いだ遺伝的素因により成人に達したとき発病すると考えられています。Finchらによるヒトの寿命の長さに対する遺伝的要因を検討した報告では、25-35%が遺伝的素因により、65%前後が環境因子により決定するとされていることから、生活環境因子は疾患発症の観点からも見逃すことができない影響力を持っていると考えられます。またペンシルベニア大学の1741名の卒業生が43歳になった時点を調査開始時とし、以後2年ごとに自立に関する生活習慣の影響を検討した結果では、タバコをすわず、肥満がなく、定期的に運動しているリスクの少ない群では喫煙し、肥満があり、運動しない高リスク群に比し、明らかに自立度が高く、高齢になるにつれ自立度に差が出てくることを報告しています。

我々が何気なく行っている、食生活、運動習慣が結果として生活の質を悪化させ、疾患に罹患する原因となっている可能性が示唆されます。これまでリスク因子は相互に影響を及ぼさずに、おのおの独立して病態を起こすと考えられていましたが、1980年代後半になり、Reavenにより「シンドロームX」、Kaplanにより「死の四重奏」と名づけられた症候群では耐糖能異常、高中性脂肪血症、高血圧、肥満などのいくつかのリスク因子が一人のひとに集積して認められ、その結果動脈硬化性病変(狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、腎不全など)が発症するという考え方が提唱されました。一つ一つの病気は重症ではなく、肥満のように病気とは認められない因子がいくつか重なると動脈硬化疾患を起こしやすいという訳です。原因は内臓脂肪から放出される種々の因子によりインスリンへの抵抗性が増し、高血圧や耐糖能異常などを発症するとする考えかたです。日本人勤労者122,051名を対象として2年間での動脈硬化性疾患発症の検討を行った報告では、動脈硬化性疾患発症は174例に認めました。性・年齢を合わせた非発症者326例をコントロールとし、10年前に遡った検査結果からリスク因子を検討したところ、高中性脂肪血症、高血圧、耐糖能異常、肥満のリスク因子のうち3個以上有する群では、これらを有しない群に比し、動脈硬化性疾患発症の危険率は30倍と報告されています。

ここに2005年に発表された日本人のメタボリック症候群の診断基準を示します。ご自分の腹囲と検診結果とからメタボリック症候群にあてはまるかどうか、検討してみてください。たいしたことないと思っていることが、10年後狭心症や心筋梗塞、脳卒中、腎不全を引き起こす原因となる可能性があります。適切な食事量と継続した運動で、適正体重を維持し、健康な日々を送れるよう、不断の努力が必要とされています。

メタボリックシンドロームの診断(日本内科学会 2005)
危険因子 診断基準
内臓肥満 腹囲
男性 >90cm
女性 >85cm
中性脂肪 ≧150mg/dl
HDLコレステロール
男性 <40mg/dl
女性 <50mg/dl
血圧 ≧135/85mmHg
空腹時血糖 ≧110mg/dl

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