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健康メモ
肝臓病と健康
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肝臓病と健康

NTT東日本関東病院 消化器内科主任医長 柴田 実

今日、がん、脳卒中、心臓病が、成人病の三大死因といわれていることは、皆さまもご存じのことと思いますが、肝硬変、肝臓がんをはじめとする肝臓病も戦前の結核にかわる“第二の国民病”として注目されつつあります。

「そこがかんじん」などというときに用いられる「肝心(または肝腎)」という語には、肝臓の肝という字が用いられているわけですが、まさにこの語が示すとおり、肝臓は、私たちの生命を維持するうえで欠くことのできない重要な臓器です。

わが国の慢性肝炎の約9割はB型肝炎ウイルスあるいはC型肝炎ウイルスの感染を原因としております。肝炎ウイルスに感染されても大半の方は、自覚症状もなく、天寿を全うされますが、一部の方は、長年の炎症の果てに、肝硬変に進んだり、肝臓がんができたりします。肝硬変、肝臓がんは、なかでも60歳台〜70歳台の男性に多く、定年を迎えられ、これから人生を楽しもうとされる方にとっては、軽視すべからざる病気と言えます。

ウイルス以外に肝硬変を起こす原因としては、アルコールが主なものとしてあげることができます。日本は欧米諸国に比べればアルコール性肝障害はずっと少ないのですが、しだいに増えつつあります。アルコールは肝炎の増悪因子でもあり、肝臓にとって“要注意”飲料であることには変わりがありません。

アルコールから肝臓を守るためには、アルコールを体内に入れないことが何よりの策ですが、現実にはなかなかそうはいきません。肝臓にはアルコールを解毒する働きがありますが、自分の肝臓の処理能力以上にアルコールを飲めば、肝臓が障害を受けることは明らかです。男性なら一日にアルコール30g以内、女性なら20g以内なら肝臓は悪くならないとされております。アルコール10gというのはビールなら350mL、ワインなら120mL、日本酒なら0.5合、ウイスキーならシングル1杯です。日本酒で一日3合以上の飲酒を継続しますと、肝障害を発症し進展する危険性が高いと言われております。

つまみをとりながら飲むことも、肝臓をいたわるうえで非常に重要です。肝臓の働きを活発にし、アルコールの分解を促すのはタンパク質ですから、まずは高タンパクの肴を欠いてはいけません。具体的には、焼き鳥、ウインナーソーセージをはじめとする肉料理、チーズなどの乳製品、またブリ、ハマチ、マグロなどの魚類もいいです。これだけですと栄養がかたよってしまいますから、新鮮な野菜なども多くとり、ビタミンやミネラルも十分とる必要があります。つまみを食べるとまずくなるといって、酒だけ飲む男性も多いようですが、これは肝臓にとって最悪の飲み方ですのでくれぐれも御注意ください。

肝臓が悪いからといって、ただちに禁酒しなければいけないわけでもありません。程度しだいでは、好きなお酒を嗜むことは十分可能であり、ましてや趣味のゴルフや釣りなどをやめる必要は通常はありません。そのような時は、専門医に相談して、過剰で無用な制限を加えず、人生を楽しみつつ、療養を行っていただきたいと思います。

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