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健康メモ
大腸憩室症
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大腸憩室症

NTT関東病院 消化器内科・部長 桜井 幸弘

今回は耳慣れない大腸憩室症について解説します。大腸憩室というのは大腸の壁に半円形のふくらみができる状態をいいます。内圧が強いと大腸の壁をとおして血管が入る部分に圧抵抗が弱いため、中の粘膜が外側に押し出されて出来るといわれています。あたかも風船にミミズができるようなものです。この憩室は昔から日本人では若年者で右側大腸に多くみられていました。その理由は未だに不明です。ところが最近高齢者に左側の大腸に憩室が増加してきているのです。S字結腸から下行結腸に見られる頻度が高くなりました。欧米では左側に多いのは昔からでしたので、最近の高齢者では欧米型に近くなっているとも言えます。肉食と線維の少ない食事が原因とされています。まさに21世紀の病気です。

大腸憩室症の症状

多くの方では憩室があるのみでは症状がありません。しかし憩室があることで憩室内に便がたまり時に小さな炎症が起きだします。軽度の腹痛を起こす原因になります。また炎症による出血のため便潜血反応が陽性になります。さらにときには大出血を来たすこともあります。さらにまれですが穿孔といって憩室の壁が破れ、便が腹腔にでてしまう重大事件にもなり得ます。

大腸憩室症の診断

大腸内視鏡検査で容易に診断ができます。注腸レントゲン検査でも診断できます。精度のよいCTですと診断がつきます。内視鏡的には大腸壁にへこみがみられます。便がつまっていることもよくあります。この憩室が多数ありますと内視鏡の挿入はしばしば痛みをともなうのが厄介です。

憩室症といわれたら

大腸憩室症自体は存在するのみでは治療対象ではありません。憩室による合併症が発生した場合に治療対象となります。しばしば多発しますが多発するほど危険性が高まります。その合併症とは、憩室炎、憩室出血。狭窄、穿孔があります。

憩室炎は袋状の憩室に便がつまり炎症をきたしちいさな腹膜炎をおこす状態です。ひどくなると炎症で腫瘍のような塊を作ることもあります。小さなうちに抗生物質の治療で治められます。

また炎症が周囲の血管に波及すると血管が破綻して出血してきます。この場合は腹痛をともなわずに大量の血便(赤または赤黒色の便)が比較的大量に出ます。憩室は沢山出来ることが多く止血すると出血部位がわからなくなりますので、出血中に内視鏡で診断するのが再出血の予防をするためにも重要です。

また小さな炎症が多発する憩室にできるとその結果腸管のふくらみが悪くなり狭窄による排便障害を起こします。この場合は手術に至ることもあります。

穿孔は突然つよい腹痛が出現し腹膜炎になりますので、緊急手術が必要となります。トイレでの排便であまり強くいきんだりしないようにすべきです。

憩室症に対する日常の注意

憩室症の方は便秘の方は意外に少ないのです。肉食から線維の多い野菜食に切り替えること、便に水分を保たせる工夫をし、脱水をさけることです。便の中で水分を保持する薬剤を使用するのがよいでしょう。便秘をしないことも重要です。

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