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健康メモ
抗加齢医学
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抗加齢医学

NTT東日本札幌病院 整形外科部長 石部 基実

わたくしは、整形外科を専門にしている一勤務医です。日々の診療のなかで思うことは、50歳を過ぎると、実年齢と見かけの年齢にかなりの個人差が生じてくるということです。特に70歳をすぎた方ですと、見かけは70歳なのに実際は80歳を超えていたり、逆にその反対であったりすることが多いようです。

人間の細胞分裂はおよそ50回で、この回数を終えると分裂がなくなり死にいたるわけです。ちなみに50回細胞分裂には計算上120年を要します。つまり人間は理論上、120歳まで生きていくことができるはずです。しかしながら、70歳まで元気で生活をしていたのに、残りの50年を寝たきりということは、できるだけ避けたいと思います。

抗加齢医学という考え方は決して寿命を延ばす医学ではなく、「生涯現役」を目指す医療といえます。言い換えますと、他の医学(内科や外科など)では「病人」を治療することを本業としていますが、抗加齢医学は「もっと健康」を考える分野といえます。

わたくしはこの紙面を借りて抗加齢のための運動療法について述べます。年齢よりも若く見られたいという方は是非参考にしてください。

人間は加齢とともに、瑞々しい筋肉を失います。年齢とともに減っていくのは主に白筋であり、ボディービルダー達が誇示する筋肉です。みなさんも階段の昇降などで衰えを自覚することがおありかと思います。年間に数百グラムの筋肉が失われるといわれています(余談ですが、アーノルド・シュワルツネッガーも最近ではもっぱら服を着て肉体を隠すことが多くなりました)。老化に伴うこういった変化を筋力トレーニングと柔軟運動により、かなり防止できることがわかってきました。筋力トレーニング・・90歳でもトレーニングをすれば筋力アップします。アメリカでの研究によれば、10ヶ月ウエイトリフティングをした60から90歳の人は平均65%筋力が増加しました。筋肉量が維持されることで、多くのカロリーが消費され、糖尿病などの生活習慣病に良い効果を及ぼし、心機能を向上させます。筋力アップは体脂肪とコレストロールを減少、骨密度を高め、骨粗鬆症を予防し、怪我を減らし、感情を安定させます。感情の安定化は、運動によってエンドルフィン分泌が誘発されるからです。アメリカ運動協会では20分間の運動を毎日行うことをすすめています。

柔軟体操・・関節を柔らかくすることで、関節の可動域を改善し、関節痛や腰痛が軽減し筋肉のリラックスによりストレス軽減も期待できます。集に4日以上の柔軟体操をおすすめします。

わたくしの友人で、自由診療の「キレート療法」によって、鉛中毒の治療に使うEDTAを用いて、体内の有害物質を除去する「健康」医療を行っている者がいます。アメリカにおいて行われている医療のひとつですが、現在、大規模な研究が行われています。彼の考えによると運動療法だけでなく、医学的根拠に基づいたサプリメント療法も行われるべきとのことです。運動や食事、そしてホルモンなどの薬物療法が現在までのところ抗加齢医学に有効な手段です。いずれ、遺伝子治療も加わってくることでしょうが、「太くて長い」人生を送ることとそ、自由社会に生きるわたくしたちの義務と確信しています。

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