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健康メモ
よく耳にする臨床検査値
健康メモ

よく耳にする臨床検査値

NTT東日本関東病院 臨床検査部長 岡田 淳

臨床検査には数多くの項目がありますが、ここでは、人間ドック検査で生活習慣病のスクリーニングのために行われる代表的な検査について、検査の意義および主要な検査の成人における基準値(従来の正常値)を示します。

1. 尿と便の検査

尿の検査としては、色調、量、比重、蛋白、糖、ウロビリノーゲン、沈渣、潜血反応などがあります。尿蛋白は糸球体腎炎、ネフローゼ症候群などで尿中に出現します(≦30 mg/dlは正常)。 尿糖(≦30 mg/dlは正常)は糖尿病などで陽性となりますが、血糖が160mg/dlを超えないと尿糖は出現しないので糖尿病=尿糖陽性ではありません。また、尿沈渣は尿中の細胞成分を調べるもので、炎症の診断には不可欠です。一方、便の検査では消化管の出血(潰瘍や癌)をみる便潜血反応が重要です。

2. 血液の検査

1) 血液学的検査(血球数の算定と凝固検査)

赤血球数の基準値は男女で多少異なりますが400〜550万/μl で、貧血や消化管の出血で減少します。白血球は4,000〜9,000個/μlですが、炎症や心筋梗塞、慢性白血病などで増加します。ヘモグロビン(血色素)量の測定は貧血の指標として重要な検査で、一般的には12g/dl以下が貧血とされています。また、血小板数が5万以下(基準値は10〜40万 /μl)になると出血傾向が出現します。

2) 生化学的検査(肝機能検査、腎機能検査、糖尿病の検査など)

肝臓に特異性の高い検査が少ないため、肝機能はいくつかの検査成績を組み合わせて判定します。最もポピュラーな検査は AST(GOT)とALT(GPT)で、基準値は≦40U/lです。ASTは比較的心臓に、ALTは肝臓に特異的な酵素なので、AST高値の場合は心筋梗塞を、ALT高値では肝疾患を疑います。飲酒と関連の深いγ-GTPは肝臓や胆道の疾患で高値となります。アルカリホスファターゼ(ALP)も肝疾患のスクリーニングに必須の検査ですが、骨疾患や癌でも高値を示します。同様に乳酸脱水素酵素(LDH)も心疾患や癌で高値となります。ビリルビン(胆汁色素) は黄疸の重要な指標となる検査です。また、肝疾患、高脂血症、糖尿病、動脈硬化などの診断に重要な脂質は総コレステロール(TC)と中性脂肪(TG)で、基準値はTCが220mg/dl以下、TGが50〜150mg/dlです。近年、TCよりもLDLコレステロールの方が冠動脈疾患の診断に有用であるとされています。また、HDLコレステロール低値の場合は、虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)が疑われます。次に、腎機能検査としては, クレアチニンと尿素窒素(BUN)が重要です。一方、糖尿病の診断に血糖検査が行われますが、確定診断には糖負荷試験が必須です。空腹時血糖は110 mg/dl以下が正常で、75gブドウ糖負荷を行って2時間後に負荷前の値に戻らないと糖尿病の可能性があります。治療のコントロールにはフルクトサミンやヘモグロビンA1cの値の変動が大切です。また、痛風を代表とする高尿酸血症の診断には血中の尿酸が測定されます。基準値は男性が≦7mg/dl、女性が≦6mg/dlです。痛風は進行すると尿路結石や狭心症を併発することに留意しなくてはなりません。

3) 血清学的検査(感染症マーカーなど)

感染症マーカーとしては、HBs抗原・抗体、HCV抗体などが検査されます。また、炎症のスクリーニング検査としてCRP(C反応性蛋白)の測定が行われます。

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