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健康メモ
大動脈弁狭窄症の治療は新しいステージへ
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大動脈弁狭窄症の治療は新しいステージへ

済生会熊本病院 副院長兼心臓血管センター 循環器内科 部長 中尾 浩一

心臓には血流を一定の方向に保つために4つの弁がついています。その中で大動脈弁は左心室から大動脈へ押し出されていく血液の出口の扉にあたります。この弁が加齢とともに動脈硬化を起こし、開きにくくなるのが大動脈弁狭窄症です。扉が開きにくいために左心室は圧力を上げて血液を心臓から大動脈に送りだそうとしますので、必然、心臓の壁が厚くなり心肥大に繋がります。

主な自覚症状は、「胸痛」、「息切れ」そして「失神」です。こうした症状が出始めるとそれから数年の内に約半数の患者さんが亡くなると言われています。従って、大動脈弁狭窄症の症状が出始めたら、弁を新しいものに取り替える外科手術を行うのがこれまでの治療の中心でした。ところが、患者さんの中には高齢などの問題のために手術を受けることができないか、極めて危険性が高い方がおられます。

そうした患者さんに福音をもたらしたのが、経カテーテル的大動脈弁留置術(Transcatheter Aortic Valve Implantation : TAVI)と呼ばれるものです(図1)。TAVIは太ももの血管からカテーテルを通し、人工弁を古くなった大動脈弁の内側に留置するものです。足からの治療が難しい場合には心尖部に小さな切開を加えて留置する方法もあります(図2)。手術そのものによるからだの負担が小さく抑えられますので、これまで外科治療が困難であった方にも新たな道が開かれたことになります。

この治療は昨年10月(※記事執筆時点)に保険償還され、現時点(2014年3月24現在)で我が国の24施設で行うことが承認されています。この情報は多くの循環器専門医の先生がご存知ですので、大動脈弁狭窄症と診断されたご高齢の方は一度ご相談をされてみても良いと思います。ただし、この治療は手術が困難、あるいは極めてリスクが高いと判断された方に適応されるもので、ご本人の希望で選択できるものではありません。また、現時点では人工透析の患者さんには保険適応はありませんので、ご注意いただければと思います。

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