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健康メモ
自分の薬を安全に用いるために
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自分の薬を安全に用いるために

北九州総合病院 薬剤部 部長 高橋 浩二郎

貴方は病院や診療所にかかったらどこで薬をもらいますか。多くの人が医師から処方箋をもらい、それを保険薬局に持って行き、薬をもらっていると思います。このようなシステムを医薬分業といい、医師が患者の症状に応じて薬物治療のための処方箋をかき、薬剤師がその処方箋に基づいて薬を作ります。薬局に処方箋を持って行くと、最初に「他にのんでいる薬はありますか」とか「薬の副作用やアレルギーはありますか」とか、女性の場合は「妊娠していますか」など、薬剤師からいろいろと聞かれると思いますが、これは貴方の今までの薬に関わる情報に基づいて薬歴情報を作成しているのです。そして、次に貴方から受け取った処方箋の内容をチェック(これを処方監査といいます)します。貴方は薬局の薬剤師から、処方内容について、医師に確認するので少し時間がかかりますと云われたことがありませんか。その確認内容というのは、「薬の量が極端に多い時や少ない時」、「症状に適さない薬が出されている時」、「他の薬と一緒に服用すると作用が強くなったり、弱くなったりする可能性が考えられる時」、あるいは「同じ作用のある薬が複数処方されている時」等であり、そのまま服用すると薬の有効性や安全性が損なわれると判断される場合に、薬剤師は医師に確認します。この確認する行為を「疑義照会」といい、薬剤師の行為として法的に定められています。従って、薬剤師は処方内容が疑わしいと判断した場合は、疑義照会を行い、問題が解決してから薬を作ること(調剤)になります。これが患者の薬の安全性を守る薬剤師の仕事です。ちなみにH22年度の日本薬剤師会の調査によると、全処方箋中の疑義照会率は約3%で、医師に確認後に処方内容が変更になった率は約7割でした。このように医薬分業という制度は、貴方の薬を安全に適正に使ってもらうための制度であり、医師と薬剤師による共同作業です。さらに、自分自身を守るには、日頃から自分がのむ薬をしっかりと理解しておくことが大切です。患者から「いつもと薬が違う」と指摘され、薬の間違いを患者自らが防いだという事例もあるので、患者自身も「薬を安全に用いること」を常に意識しておく必要があります。

さて、貴方は薬局をどのように選んでいますか。薬局は病院や診療所の門前にあることが多いですが、必ずしも門前の薬局に行く必要はなく、自由に選ぶことができます。大事なことは、信頼のおける「かかりつけ薬局」を1つ決めておくことです。特に複数の病院や診療所にかかっている人は、いずれの処方箋も貴方が決めた「かかりつけ薬局」に持って行くことをお薦めします。先にも書いたとおり、薬局は貴方の薬歴を作っています。従って、「かかりつけ薬局」に複数の病院や診療所でもらった処方箋を持って行くと、貴方の薬歴をすべて把握していることから、同じ作用の薬の重複(成分の異なる抗生物質や眠剤が2種類でている等)や他の薬や食品との飲み合わせを直ちに確認できるので、貴方の安全な薬物治療を支援することができます。いわば、「かかりつけ薬局」は貴方の薬の交通整理をする薬局と理解しておくとよいでしょう。また市販薬の風邪薬や健康食品と一緒にのんでよいか等を含め、健康に関わるいろんな相談にも応じることができます。是非、信頼のおける「かかりつけ薬局」を1つ見つけてください。

次に「お薬手帳」についてですが、薬局にかかると「お薬手帳」をもらいます。手帳に貴方の処方箋内容を書くか、印刷されたものを貼ってくれると思います。貴方は「お薬手帳」を活用していますか。手帳は貴方の薬歴そのものですので、保険証とともに保管し、貴方が受診する際は病院・診療所・薬局に提示してください。手帳を医師や薬剤師が見ることによって、貴方がどのような薬をどのくらいのんでいるのか等がわかります。これにより、医師が貴方に新しい薬を出す場合は、同じ作用の薬を出さない等、安全に適切に処方することができます。東北大震災時に被災された患者が、仮診療所に受診した際、「お薬手帳」を持っていた場合には、適切な対応ができたと云われており、「お薬手帳」の重要性が認識されました。自分の病気の薬物治療は自分でしっかり管理するためにも、「お薬手帳」を保険証とともに携帯し、医療機関に提示することが重要です。

本稿では自分の薬物治療を安全に適切に保持していくためには、「かかりつけ薬局」を決めておき、処方箋を持って行くことをお薦めしました。また「かかりつけ薬局」からもらう「お薬手帳」を医療機関や薬局に必ず持参することをお薦めしました。

薬を安全に用いるためにぜひ実行して下さい。

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