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健康メモ
急性心筋梗塞(きゅうせいしんきんこうそく)〜初期の対応が生死を分ける〜
健康メモ

急性心筋梗塞(きゅうせいしんきんこうそく)〜初期の対応が生死を分ける〜

社会福祉法人恩賜財団済生会熊本病院 心臓血管センター循環器内科部長 中尾 浩一

急性心筋梗塞は心臓に栄養を送る血管(冠動脈)が突然つまる病気。およそ3人に1人では、全く前兆(狭心症)なしに発症します。突然死の原因にもなりますので、その症状を知り、初期の対応を誤らないことが大切です。

突然生じた激しい胸痛が15分以上続く場合は、「急性心筋梗塞」の可能性があります。心臓をとり囲んで、その筋肉(心筋)に栄養を送っている冠動脈が突然つまるため、細胞が時間とともに壊れて行くのです(梗塞)。この時、しめつけるような、押さえつけるような、あるいは焼けるような激しい前胸部の痛みが起り、息ができないような感じや冷や汗を伴います。痛みの広がり具合から、「胃」や「肩」の病気と間違うことがあります。これまでに経験したことがないような激しい痛みを前胸部中心に感じ、なかなか治まらない時には、「心筋梗塞かも?」と考えて行動してください。

すぐに近くにいる誰かに症状を伝え、必ず救急車を呼んでもらいます。可能なら自ら119番コールをしてください。心筋梗塞の初期には「心室細動(しんしつさいどう)」といった危険な不整脈が起りやすくなっています。不整脈のために意識を失うことがありますので、自分で車を運転して病院に向かうのはたいへん危険です。多くの救急車内には心室細動を止める器械(AED)が備え付けられています。

病院に到着し、心電図検査などで「急性心筋梗塞」と診断されると、直ちに「再灌流(さいかんりゅう)治療」を行います。手首や足の付け根の動脈から細い管(カテーテル)を心臓まで入れて、つまった血管を風船や「ステント」と呼ばれる網状の金属で押し広げて、心筋への血流を回復させます(図)。この治療により症状は劇的に改善し、心筋のダメージを最小限に食い止めることができます。治療は一刻も早く行わなければなりません。

日本では、年間約25万人が急性心筋梗塞を発症していると推定され(1)、うち少なくとも14 % 以上が病院到着前に心停止状態となっており、その大部分は心室細動などの重篤な不整脈が原因であると言われています(2)。高血圧、糖尿病、高コレステロール血症、喫煙、ストレス、ご家族にこの病気の方がいること、などは心筋梗塞発症の「危険因子」ですが、こうした危険因子を複数持つ方は狭心症や心筋梗塞という病気のことを知っておく必要があります。あなたを、あなたの大切な家族を守るのは正しい知識なのです。

参考資料
(1)厚生科学研究「急性心筋梗塞の診療エビデンス集−EBMにより作成したガイドライン」
(主任研究者上松頼勝男)(平成10年度)
(2)日本救急医療財団心肺蘇生法委員会「改訂3 版救急蘇生法の指針2005」

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